OUR FACTORY
工房を始めるにあたり、この地域で仕事をしたいという女性たちに呼びかけ
集まった50人の中から厳しい面接とワークショップを経て8人の女性が選ばれました。
面接の際には、夫が新しい女性と結婚して路頭に迷ってしまった女性、
ひとりで子供を抱えながら収入源のない女性、家庭内暴力を受けたという女性…。
たくさんの悲しい過去と問題を抱えた女性たちがやってきました。
わたしたちはその後、家庭訪問や調査をして、仕事がない、貧しいという人たちの中でも最貧困層と呼ばれる女性たちにまず絞りました。なぜなら、わたしたちの一番の目的は、誰よりも機会を得られない女性たちが
困難な環境から抜け出し、自分たちの手で自分の人生を取り戻すことだからです。
その中からワークショップの中で仕事への意欲と情熱を認められた女性が最終的にメンバーとなりました。
そうして始まったクラフト工房でしたが、始めは大変なことだらけでした。
そもそも働いたことがない、学校に行ったことがないという女性たちなので
働く以前の当たり前のことを彼女たちに教える必要がありました。
しかし、彼女たちの中に共通して見えたのは、子どもを育てるため・自分の人生を変えるために
なんとかこの仕事を自分のものにしたいというとても強い執念でした。何度もNGを出されても、
あきらめずに特訓を積み、ついには日本でも通用する品質の商品を作り出せるまでになりました。
バングラデシュのお母さんたちが、自分に誇りを持って笑顔で仕事をしてほしい。生きてほしい。
そんな思いから始まったこの工房が、現在働く22人のお母さんと子どもたちの幸せな未来となり、
次世代のお母さんたちのための明るい希望となるように活動していきます。
MOTHER'S STORY
Hawa Begun
シングルマザーながら、
3人の子どもを育てるお母さん
工房の初期メンバー
明るく、どんな時でも工房の笑顔を
生み出すムードメーカー
私はシングルマザーで3人の子どもを育てています。
夫はある日突然私と子どもたちを置いていなくなってしまいました。
当時私には収入がなく、子どもたちもまだまだ手がかかる時期で、女性が子どもを抱えながらできる仕事はこの村にはないため、途方に暮れていました。
今までなんとか大変な中でも子どもたちを学校に通わせてきて、息子の努力の甲斐もあり念願のSSC試験(バングラデシュの国家試験)を受けるところまできたのに、収入がなければ学校に通わせることも、試験を受けることもできません。
そんな時に、工房で募集があり、
「息子をなんとか進学させてあげたい」
その想いだけで面接を受けました。
仕事を始めてからは、毎月きちんとお給料がもらえ、その報酬で子どもたちを学校に通わせることができています。
工房で仲間たちと新しいことを学ぶことは自分にとっても喜びであり、私は仕事を楽しみながら継続し、息子も無事SSC試験に合格しました。
3人の子どもを抱えながらの生活は大変ですが、親として子どもに勉強の機会を与えてあげられていることが本当に嬉しいし、誇らしく思っています。
エクマットラの工房は私が心から笑顔になれる、そんな場所です。
私はこの工房で働くまでは、何も自分で決断することができませんでした。
夫がいつ帰るのかもわからない、いつお給料を持ってくるかもわからない、そんな毎日の中で、たまに渡されるお金の中でやり繰りしていかなければいけない生活でした。
子どもに栄養あるものを食べさせたい、買ってあげたい、学校に通わせてあげたいと思っても、母親なのにその権限がありませんでした。
でも、今は違います。
自分で稼いだお金で、今晩のおかずを決めることができ、子どもに必要なものを買ってあげることができ、そして娘二人を学校に通わせてあげることができています。何にお金を使うか、私は自分で考えて選んで決めることができます。
それがとても嬉しいです。
ただただ、家の中で我慢をして過していた日々。
そんな毎日から勇気を出し、一歩踏み出して働き始めてから、
自分で決断するということと、仕事をすることの喜びを知りました。
自分が作ったものを沢山のひとが手にとってくれる。
それを想像すると、とても嬉しくて、もっと美しいものを作ろう!という気持ちになります。
そして、娘たちを学校に通わせる中で、私自身の夢を思い出しました。
それは大学生になること。
大好きだった勉強をもう一度頑張ってみようと思い、工房の仕事の傍ら勉強を再開し、2022年にSSC試験(バングラデシュの国家試験)に受かりました。
今、私は夢を叶え社会人大学の大学生としてキャンパスライフを満喫しています。
この工房との出会いが、私の人生を幸せにしてくれました。
Laboni Akter
2人の子どもを育てるお母さん
工房の2期メンバー
工房とみんなのことを考えて働く、
気配り上手の優しい頑張り屋さん